折箱の形状と構造について
こんにちは、業務用テイクアウト容器通販サイト「折箱堂」スタッフの佐藤です。
皆さん、デパ地下や、道の駅などで買ったお弁当を食べ終わったとき、折箱の作りを調べたり、裏面をのぞき込んだりする人は、まずいないと思います。中身がメインですからね。
食べ終わったら、ご馳走様の後、箱はゴミ箱行きになることに…
でも折箱は、食材を詰めるほかに、食材を引き立てたり、売れるような目立つ形だったり、その食材に適した器だったりと、しっかり裏方しております。ひょっとしたら、これが「折箱」と気づかずに通り過ぎているかもしれませんね。
この記事では、折箱の形状と構造についてピックアップし、この機会に興味を持っていただければ幸いです。次に折箱を使ったお弁当などを購入されたときは、是非チェックしてくださいね。
目次
折箱の形状
折箱は主に、お弁当用に使われますので、四角形(長方形)を思い浮かべるかもしれませんね。実は、丸形(楕円)、八角形(多角形)その他いろいろな形状に加工されています。折箱と気づきにくいものもあるかもしれませんネ!
四角形(長方形)
やっぱり折箱といえは四角形が多いです。寸法としては、昔ながらの言い回しで
・1合折 (寿司8貫が入るサイズ )169mm×115mm
・1.5号折 (寿司12貫が入るサイズ)197mm×121mm
・2合折 (寿司16貫が入るサイズ)212mm×136mm
等が定番の規格サイズで多く存在します。また、6寸折、7寸折(1寸は3.03mm)などと、寸(すん)で計算された規格サイズも多いです。
またよく見ると、角が直角でないものもあります。
角を切った形を「スミ切り」、角がまるくなったものを「角丸」と呼んでいます。これは包装時、ラップ切れをを防ぐほかに、角がぶつかって割れないように工夫した形状です。
丸型(楕円型)
みなさん、「輪っぱ」(曲げわっぱ)という言葉を聞いたことありますか?
昔からつくられている円筒形の容器で、スギやヒノキなどの木製の薄板を曲げて作られたものです。現在は弁当箱というよりは工芸品のイメージが強いですが、現在の丸型、楕円型の御先祖様みたいな存在で、現在の丸まった折箱をワッパと言われる方もおります。
日本人には馴染みのある形状なので、広く出回っております。
八角形(多角形)
八角形の折箱は、たぶん歴史的には近年と思われますが、現在においては広く普及した形状です。使用例としては、透明蓋に合わせたものや、中に仕切りを入れ、中身を見栄えよくする形が多く見受けられます。
また、人目を引くために変形五角形、六角形と変わった形状の折箱もあります。例えば、
上図は絵馬や将棋の駒にもみえますね。
こちらはパックも二つ入りインパクトがあります。他にもいろいろな形状がありますので、デパ地下や、催事など見に行かれた時はチェックしていただければ幸いです。
より高級志向
なかなか普段は見受けられない折箱ですが、昔からの伝統と技術を継承して、今日に至っています。料理(中身)を開けるまでのワクワク感も味わえますね。
【引き出し折】
一瞬タンス? なかなにしゃれた折箱です。房カンをつけるとちょうど取っ手のようにみえますね。
(参考:当社仕入れ商品: 折箱やさんの折箱工作キット 引出し3段折桐柄)
【鎌倉折】
こちらも“カマクラ”の様な包みから箱を引き出す形です。
【BOOK型】
蓋が本の様に開閉する折箱です。見た目ではわかりませんが、縦に開いたり、横に開いたり折れ曲がったりと工夫されております。
【開閉折】
蓋を外して開くと、びっくり! 立体的になっていますね。
これら以外にも、まだまだ多種多様な形状があります。前にも述べましたが、昔からの伝統と技術を継承しつつも、更に発展、進化しつつ現代に至っております。
では、次に折箱の構造について、みていきたいと思います。
折箱の構造
まず折箱を分解してみると・・・
上図、サンプルとして写真の折箱を用意しました。側材(棒が曲がっているもの)、底板、透明蓋、仕切りの棒2本になります。
この折箱の側材と仕切りの材質はPSP(発泡ポリスチレンシート)です。これが板状になったものを、業界用語では「原反」(げんたん)と言います。発泡率が高い、つまり。空気で膨らませている材質なので、軽量で、かつ加工が容易です。
加工が容易ですので、折箱は普通の市販のカッターでも簡単につくれます!
原反は、大体縦1000mm、幅600mm位、厚み3.5mm~5mm位の板であり、これを折箱メーカーが仕入れ、側材や仕切り、または蓋などにカットしておりますので、材料が組み立てやすいシンプルな形になっている訳です。
なお、側の部分にVカットが入っており、これを折り曲げることで、箱になります。名前のとおり「折箱」ですネ。
このVカットのおかげで、四角形の他にも五角形や八角形などの形状を作ることができます。また、側はカール機をつかって曲げることで、丸や楕円の形状を作ることができます。
では、底の形状どのようになっているかを見ていきます。
貼底(つけ底) <シンプル・大量供給>
側材に底板を直接貼り付けた形状です。製造するうえで、作りがシンプルですので、低価格にて大量供給が可能です。
図1:基本的な貼底の断面図
底板が成型底になっているものも多く、スーパーマーケットや、デパ地下にてお弁当や和菓子など、多岐に使われている形状です。成型底に対し蓋は透明タイプがセットです。
機械で所定の重さや大きさにパッケージして店頭に並べ包装しておく「プリパッケージ方式」に対応しており、お客様に自ら手に取って見て頂ける、セルフサービス販売に最適です。
図2:成型底を使った貼箱
上底 <多様なカタチ・高級感>
側材に溝を掘りに底板をはめ込んだ形状です。4方の溝で底板を支えているので、底抜けせず、多少重量があっても安定感があります。
また、底を高く上げることで容量を大きく見せることができます。
図3:基本的な上底断面図
カタチが決めやすく丸形、六角形、八角形等に対応し、高級感を演出しやすいです。冠婚葬祭や、会議などになどに使われる仕出し弁当、有名駅弁や道弁、空弁などなど、デパ地下に店舗を構えるお弁当屋さんなど、ちょっとした高級感のあるお弁当によく使われております。
図4:さまざまな上底の形
図5:応用編
裏から見ると…上げ底部分を高くして側を加工しています!
融着 <汁漏れしにくい、強度有り>
1枚の板の角4辺を熱融着で溶かして、箱の形にしたものです。形状は四角のみですが、強度があります。製造上、角が丸みをおびています。木目柄は成形上の都合で長辺と短辺で柄の向きが変わります。
図6:融着折の展開図
側面と底面部分が一体になっておりますので、多少のタレ・汁等が、漏れにくくなっています。そのため、うな重、天丼などの丼物、あんこ餅、団子などの和菓子にも使われております。
よく見かける形としては、本体も蓋も融着でカブセ蓋のものが多く売られております。
図7:融着折のサンプル例
シャクリ
折箱特有の構造として、シャクリという加工をよく見受けられます。
原反は3.5mm~5mm位の厚みがありますので、これを段差がつくように削り取る・・・(決る:しゃくる・・・えぐる、掘るの意味)からシャクリと呼ばれるようになったと思われます。
図8:シャクリを利用した二段重ね折箱のサンブル&断面図
こちらのサンプルは、右写真のように蓋にシャクリ加工を施すことで、蓋がズレにくくなります。
また、上段側下に外シャクリの加工をし、下段側上、内シャクリの加工をする事で、上段と下段が巧く安定して重なり、より高級感を持った折箱になります。
デパ地下や、道の駅などで買ったお弁当を食べ終わったとき、蓋をひっくり返したり箱の裏面をのぞき込んでみたりしたくなってきたかもしれません。面白い、なるほど!と新たな発見ができるかもしれませんね。
折箱の形状と構造について、まとめ
現在の折箱は、材質が木箱から発泡ポリスチレンシートへと移ってきてはいますが、食文化を支える、引き立てる、楽しませる「器」として役割は変わっておりません。現在の松花堂弁当も、十字仕切の中に、小皿の代わりにパックが入り、食を盛る際にも便利になり、価格も安く購入できるようになっております。
今回の形状サンプルは、形をよりよく見せるため杉柄のものをメインに御用意しました。これが、鮮やかな柄模様(花柄や、幾何学模様)ですと更にイメージが変わります。ひょっとした折箱であることに気が付きくいかもしれませんね。
デパ地下や、道の駅などでお弁当を購入する際には、器である折箱にも注目して頂ければ幸いです。最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
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